いせやの物語
- いせやの物語
- 第四話
故人の生きてこられた証を、
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既存のお葬式への疑問
お葬式の忙しさが悲しみを癒してくれる、ということをよく耳にする。
やるべき手続きが山のようにあり、家や地域それぞれのしきたりもある。
それは、わかる。しかし、あまりに、形式的に流れていないか。
故人の遺志、家族の気持ちは、どこか置き去りにされていないか。
ひとりひとり、その人らしい、送り方があっていいだろうに。 -
パッケージではなく、選択を自由に
では、いせやなら、どうするか。
まずは、残されたご家族のお話をじっくり聞くことから、はじめようと思った。
故人の人となり、生きてきた道、そしてご家族の気持ちを。
そうする中から、リクエストが出てくれば、できる限りかなえるお手伝いをしよう。
いままでにない選択肢をご用意し、配れるだけの気をフルに働かせて。
プランについても、基本セットは用意しながらも、リクエストに最大限応えられるように努めようと。 -
ステンドグラス、コフィン、花
実際、決まりきったものではないお葬式を望む方は、
考えていたよりずっと多かった。
そうした方々にもしっかりと応えていこうとするいせやの意志を、
目に見えるかたちにしよう。
いちばんの表われが、「ホールロゼリア」。
ホールに光と彩りを取り込むステンドグラス。
シンプルで、品のよいデザインのコフィン(棺)。
祭壇ではなく、季節やご希望に合わせた花の装飾。
ここにしかない空間と、そこに流れる時間を、お届けできるように。 -
よりその人らしいお見送りのお手伝いを
「父が好きだった珈琲でお別れできませんか」
聞けば、豆を挽き、ドリップするのが日課だったらしい。
「もちろん、ご用意させていただきます」
好きだった花や、音楽、愛用品にかこまれての旅立ちは、きっと故人にも喜んでもらえるはずだから。
「父も、おいしそうに香りを楽しんでいましたよ」
「そのようでしたね。私たちも、心の中でご一緒に献杯させていただきました」